
事例でひも解く 観光ブランディング
~ 奥京都 天橋立エリア篇 ~
地域全体の魅力を高める
京都の日本海側、若狭湾の西に位置し、天橋立で知られる宮津市を中心に事業を展開していた株式会社にしがきは、あらたにリゾート施設のオープンを計画していました。

しかし、大きな問題点がありました。当該エリアは日帰りの観光客が多かったのです。天橋立で有名ですが、地域全体としての観光需要を創出できておらず、都心から2時間というアクセスの良さが、逆にデメリットになっていたのです。
株式会社にしがきの西垣社長は、地域に点在する個々のスポットではなく、地域全体の魅力を高める必要性を痛感し、地域ブランディングに思い至ったと言います。しかし、自社だけでなく、地域全体のブランディングとは、いったい何をすればいいのか、どこから手を付けていいのか分かりません。そこで、私どもに相談に来られました。
まずはその地域のことを徹底的に調査

観光ブランディングで最初にやらなければならないことは、地域の現状を正しく把握することです。逆に、絶対やってはならないことは、地方創生の事例集などから「施策」のみをピックアップして取り入れようとすること。ブランドコンセプトや、情報発信の手法等を立案するためには、徹底的な調査と、その分析が必要なのです。
このときは、天橋立エリアがメディアにどのように報じられているか、消費者の嗜好やトレンドはどうなのか、地域を取り巻く情勢や環境がどうなっているのかを調査しました。もちろん、現地を訪れて観光資源の現状も徹底的に調査しました。
観光ブランディングには地域の協力者が不可欠

調査と分析が済んだら、その結果をもとに、観光ブランドのコンセプトを設計します。この後、制作されるすべてがこのコンセプトに則るため、ブランドの成否にかかわる重要な工程といえるでしょう。また、観光ブランディングでは、地域内の関係者と一緒になってブランドを作っていこうとする意志が欠かせません。
この事例では、現地の漁師や農家をはじめ、酒造、醸造所、カフェ、バーなどの地場産業、ツアーガイドの方々と協力関係を構築し、観光ブランディングを進めました。観光ブランディングを推進するエンジンは、この協力体制にかかっているといっても過言ではないのです。
いよいよ観光ブランドの開発に

コンセプトを具体的な言葉に落とし込み、ブランドシンボル(ロゴなど)を制作。さらに、コンセプトに沿った形で、地域の魅力を余すことなく表現したコンテンツを制作します。認知を得るためには、イベントも有効です。この事例では、一年を通して天橋立エリアを堪能できるよう、地域共同で体験ツアーを開発しました。
観光ブランドは一過性のものではありません。地方創生にはコンサルタントがあふれていますが、もし、あなたの依頼しようとしているコンサルタントが、オープン時の集客にこだわっていたり、その内容がブラックボックスであったなら、その方への依頼はやめておいた方がいいでしょう。
観光ブランドにとって、オープンはスタートにすぎず、長期的には自分たちでブランディングをし続ける必要があります。そのため、私たちは長期的な計画を念頭に、担当者と一緒になってブランディングを進めることを重要視しています。
計画的な情報発信が奏功

長期的な情報発信の計画をもとに、オープン期はもちろん、その後も情報を発信し続けます。この事例では、これまでメディアの報道量が少なかったこともあり、オープン前にメディアキャラバンを実施、さらにプレスツアーも敢行しました。
※メディアキャラバン:メディアを訪問して情報提供すること / プレスツアー:現地にメディアを招待すること
情報発信を続けるということは、コンテンツを制作し続けるということです。そのための費用も体制も必要になってきます。費用については自治体からの補助等がありますが、補助金が尽きたときブランドの命運も尽きたのではやりきれません。補助金頼みは大きなリスク。地域が自走するためにこそ観光ブランディングに取り組む理由があります。
お泊り需要の喚起により、地域全体が活性化
地域内でコト消費を促すスキームを共同開発するなど、地域特性を活かした観光ブランディングに取り組んだ結果、当該リゾートは予約が取れない人気施設に成長しました。日帰りの観光客が多いことが課題でしたが、お泊り需要が喚起されたことにより、地域内での消費も活性化。観光ブランディングに成功した事例となりました。
もっと詳しく知りたい人向けに、ブランディングのプロセスを解説した、
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