
柿の葉寿司の体験コンテンツにニーズはあるのか? 調査してみました。
国内で新しくツアーを企画しているクライアントから相談がありました。「ツアーの体験コンテンツとして『柿の葉寿司づくり』を検討しているけど、そもそもニーズはあるのだろうか?」というものです。
ネット上にはいろいろな調査結果が公開されています。政府統計をはじめ、メーカーや旅行会社など民間企業による調査も多数あります。しかし、さすがに「柿の葉寿司づくり」となるとニッチすぎて、そんな調査結果は見当たりません。ということで、私どもで独自にアンケート調査を行ったのです。
なお、今回の調査は、クライアントが企画検討を進めてよいかを判断することが目的なので、ニーズの有無にしぼって調査しています。事業開発のフェーズや、その目的によって調査の規模や調査内容が大きく異なることを付け加えておきます。
※柿の葉寿司は鯖、鮭などの魚の切身をシャリにのせて柿の葉で包んだお寿司
誰にアンケートするか?
アンケートでもっとも大切なのは、誰に聞くかということです。今回、ツアーで想定している販売エリアが関西圏であったため、調査対象を6府県(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)とし、20~70代の男女を調査対象としました。
ニーズの調査だけであれば、全国でいいように思うかもしれませんが、柿の葉寿司の認知度(知っているかどうか)が都道府県によって大きく異なるため、クライアントに販売エリアを確認したうえで、調査対象を決めたのです。
年代による傾向がはっきり
まずは、柿の葉寿司を食べたことがあるか聞きました。その結果、「食べたことがある」が65.5%、「食べたことはない。一度食べてみたい」が10.0%、「食べたことはない。興味もない」が24.5%でした(図1)。
もう少し詳しくみてみます。同じデータを年代別に分類すると、40代までと、50代以降で傾向が大きく異なることが分かります(図2)。断定するものではありませんが、今回企画するツアーはシニア向けの構成とした方が良いのかもしれません。

図1 あなたは、郷土料理である「柿の葉寿司」を食べたことがありますか。(n=200、SA)

図2 あなたは、郷土料理である「柿の葉寿司」を食べたことがありますか。(n=200、SA)
4割が体験してみたい
次いで、柿の葉寿司づくりを体験してみたいか聞きました。なお、前問で「柿の葉寿司に興味がない」と回答した人は除いています。
その結果、41.1%が「体験してみたい」と回答しました。結構多い、という印象です。しかし、これだけでは、どのようなニーズがあるかは分かりません。もう少し突っ込んで聞いてみましょう。

図3 あなたは、柿の葉寿司づくりを体験してみたいですか。(n=151、SA)
旅行のアクティビティとして、職人に教わりたい
柿の葉寿司づくりをするなら、どのような形で体験してみたいか聞きました。どこで体験するか、誰に教わるかを選択肢として提示しています。その結果、上位は「旅行のアクティビティとして体験」が45.2%、「柿の葉寿司職人に教わる」が41.9%でした。
つまり、「柿の葉寿司づくりを職人に教わるツアー」にニーズがありそうだ、という結論になります。

図4 柿の葉寿司づくりをするなら、どのような形で体験してみたいですか(複数回答)。(n=62、MA)
■調査概要
調査名称:食についてのアンケート
調査期間:2025年6月6日~6月7日
調査対象:関西(京都、大阪、兵庫、奈良、滋賀、和歌山)に居住する、20~70代の男女
調査数 :200名
調査方法:Webアンケート
観光ブランディングには調査分析が大切
以上がニーズ調査の事例となります。イメージはつかんでいただけたでしょうか。もちろん、この結果のみで何かが約束されるわけではありません。ニーズがありそうだと分かっただけです。この後、先行事例の研究や聞き取り調査等を進める必要があります。
観光ブランディングにおいても、一般的な商品開発と同じく、様々な調査分析が大切なのです。
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